離職の原因は“自己肯定感不足”?人が辞めない職場づくりのカギとは

「最近、社員がどこか元気がない」
「育成には力を入れているのに、辞めてしまう人が後を絶たない」
こうした悩みを抱える中小企業の経営者・管理職の方は少なくありません。
採用した人材が辞めてしまう理由は、給与や待遇だけではありません。もちろん、労働条件も影響しますが、実はもっと深く、見えにくい要因があります。
それが「自己肯定感」です。

■ 自己肯定感とは何か?
心理学で言う「自己肯定感」とは、「ありのままの自分を受け入れ、価値を感じる感覚」のことです。
結果が出ていなくても、「自分には意味がある」「ここにいていい」と感じられる感情の土台。この感覚が育っている人は、自分の力を信じ、前向きに挑戦し、多少の失敗にも折れません。
逆に、自己肯定感が育まれていない人は、少しのミスや否定で心が折れ、徐々にモチベーションが下がっていきます。

■ 自己肯定感は、職場環境で育つ
「自己肯定感はその人の性格では?」と思われるかもしれません。
しかし、実際は職場の空気や関わり方が大きく影響しています。
たとえば以下のような職場では、自己肯定感は育ちにくくなります。
• ミスを厳しく叱責されるが、成功は当然としてスルーされる
• 頑張りやプロセスよりも、数字や結果ばかりが評価される
• 「お前はまだまだだ」と言い続ける上司がいる
• 感謝やねぎらいの言葉が、ほとんど交わされない
• 上司や同僚との雑談がなく、心の交流がない
こうした環境では、社員は「ここにいても自分は役に立っていないのでは」と感じやすくなり、徐々に自己肯定感が下がっていきます。
その結果、「やる気が出ない」「どうせ評価されない」と感じるようになり、やがて「ここにいる意味がない」と職場を離れていくのです。

■ 自己肯定感が高まる職場の共通点
逆に、定着率の高い職場には、自己肯定感を育てる“空気”があります。
共通するポイントは次のようなものです。
• 小さな成果や成長に気づき、言葉で伝えている
• チャレンジを歓迎し、失敗しても責めずに支える
• 「ありがとう」「助かったよ」「よく気づいたね」と声がけされる
• プロセスを認められる場面がある(面談・1on1・日報など)
• 上司も自分の弱さや感情を見せてくれる安心感がある
つまり、「存在」や「努力」が見られているという実感が、社員の自己肯定感を少しずつ育てていくのです。

■ 自己肯定感と定着率の関係
人が辞める時、それは「給料が低いから」でも「忙しいから」もありますが、「もうここにはいたくない」と感じることが本質的な引き金になります。
そして、「いたくない」と感じさせる職場の多くは、自己肯定感が育ちにくい場所となっています。
「どうせ評価されない」
「何をしても否定される」
「存在を認められていない」
そんな感情の蓄積が、離職という選択を生み出すのです。
だからこそ、定着率を上げたければ、「制度」や「給与」だけでなく、「感情の安全基地」をつくることが大切です。
それが自己肯定感を育てる土壌になります。

■ 経営者・管理職にできる一歩
自己肯定感を育てる職場にするために、今日からできることは意外とシンプルです。
• 朝、「おはよう」だけでなく名前を添えてみる
• 会議で結果よりも「準備ありがとう、本当に○○さんの資料はわかりやすくて助かるよ」「よく提案書の構成に工夫が見えたよ」と伝える
• 月に1回、1on1で「最近、随分と頑張っているよね。」とねぎらう
これらの小さな行動が、「ここにいていい」という感情を少しずつ育て、社員の心を支える大きな力になります。

■ まとめ
自己肯定感は、目には見えません。
でも、人がその職場に「いたい」と思うかどうかは、この見えない感情に大きく左右されます。
自己肯定感が育つ職場は、人が辞めません。
なぜなら、「ここにいていい」「自分には価値がある」と思えるからです。
辞めたくない職場とは、自己肯定感を育む職場。
制度や評価だけでは届かない“感情のマネジメント”が、定着率を変えていくのです。

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