「なぜあの会社ばかりに“いい人材”が集まるのか?」
「なぜ同じ業種・同じ地域なのに、あの会社は人が辞めないのか?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
採用難・定着難の時代、多くの企業が「いい人が来ない」「採用してもすぐ辞める」といった悩みを抱えています。とくに中小企業にとって、ひとりの採用や離職は経営に大きなインパクトを与えかねません。
一方で、知名度がそれほど高くなくても、なぜかいい人材が集まり、辞めない会社があります。実は、そうした企業には共通する“見えない特徴”があるのです。
今回は、離職率が低く“いい人材”が集まる会社に共通する3つの特徴を、心理的視点や組織づくりの観点から解説します。
1. 社員の“感情”を大切にしている職場環境がある
人は「感情の生き物」といわれるほど、気持ちに大きく左右されて行動します。仕事も例外ではなく、「この職場は安心できる」「ここにいると自分らしくいられる」と感じるかどうかは、定着に直結します。
昨今では「心理的安全性」という言葉が注目されています。これは、職場で自分の考えや感情を安心して表現できる状態を指します。心理的安全性が高い職場では、チームのパフォーマンスも高まり、離職率も低い傾向にあるとされています。
逆に、いつもピリピリしている職場や、失敗すると責められる雰囲気の職場では、社員は防衛的になり、チャレンジを避け、やがて「ここにいたくない」と思うようになります。
社員同士が信頼し合い、感情を尊重し合える風土があるか。
それは、採用力以上に、「人が辞めない会社」であり続けるための土台です。
2. 理念やビジョンが社員に浸透している
人は、「何のためにこの仕事をしているのか?」という問いに答えられたとき、はじめて意義とやりがいを感じることができます。
離職率が低い会社には、“理念が浸透している”という特徴があります。たとえば、「私たちは人の暮らしを支える誇りある仕事をしている」「地域に安心を届ける存在である」といった共通の目的意識を、社員一人ひとりが持っています。
重要なのは、「理念を掲げているか」ではなく、「日々の仕事とどう結びついているか」が社員に伝わっていることです。現場レベルで理念が“自分ごと”になっていると、仕事の中に意味を感じ、困難も乗り越える力になります。
また、共通の価値観や目標を共有することで、組織内にブレが生まれにくく、人間関係のストレスも軽減されやすくなるという利点もあります。
理念が“飾り”になっていないかどうか。
それは、定着率に大きく関わるチェックポイントです。
3. “人を見る目”と“育てる力”を持つマネジメントが存在する
どれほど理念が立派でも、職場環境が整っていても、社員が辞めてしまう原因の多くは「上司との関係」にあります。
ある調査では、退職理由の上位に「上司への不満」が必ず入るというデータもあります。たとえば、感情的に怒る、話を聞かない、指導が一方的など、上司のマネジメントに課題がある場合、若手社員ほど早期に離職してしまう傾向があります。
一方、“人を見抜き、育てようとするマネジメント”がいる会社では、社員が安心して成長できます。たとえば:
• 部下の気持ちをくみ取る「傾聴力」
• 小さな努力を見逃さない「承認力」
• 成長を促す「対話とフィードバック」
• 感情を整える「EQ(感情知性)」の高さ
これらを備えたマネージャーが組織内にいるかどうかが、人材の定着と活躍に決定的な差を生むのです。
【まとめ】「辞めない・集まる」会社に共通するのは、“人へのまなざし”
採用難、定着難といわれる今の時代。
求められるのは、「どう採るか」以上に、「どう働き続けたいと思ってもらえるか」という視点です。
離職率が低く、いい人材が集まる会社は、次の3つの視点を備えています。
• 感情を大切にする心理的安全な職場環境
• 理念やビジョンが浸透し、仕事に意味を感じられる仕組み
• 信頼できる上司による成長支援とマネジメントの質
どれもすぐに結果が出る施策ではありませんが、少しずつ改善することで、組織の魅力は確実に高まっていきます。
「いい人が来ない」と悩む前に、「いい人が辞めない土台」ができているかを見直すこと。
それこそが、これからの企業成長に欠かせない第一歩ではないでしょうか。