その会議、“感情”が置き去りでは?~”気まずさ”と”無関心”が生まれる理由~

■“気まずさ”と“無関心”を生む職場会議の共通点
職場において、「会議」は最も日常的で、最も感情が動きにくい場かもしれません。
「言いたいことがあるけど、言いづらい」
「毎回、発言する人が決まっている」
「結局、何が決まったのかよくわからない」
そんな声が、経営者や管理職からも、現場の社員からもよく聞かれます。

生産性の低い会議の特徴をあげると、「目的が曖昧」「議論が深まらない」「時間が長い」など、構造や設計の問題がよく指摘されますが、実はもっと根深い共通点があります。
それは、「感情」が置き去りにされているということです。

■ “正論”だけでは、人も会議も動かない
よくあるのは、論理的な資料と理屈だけで会議が進んでいくパターン。
一見スマートに見えますが、「発言しづらい空気」や「どうせ決まってる感」を生みやすく、聞いている側の内面に“温度”が生まれません。

人は感情で動き、理屈で納得します。
にもかかわらず、多くの会議では感情の入口が存在していないのです。
・意見を出しても受け止められるだろうか?
・この場で否定されたらどうしよう?
・自分の意見は価値があるのだろうか?
こうした心の声が抑圧されたまま会議を進めても、本音は出ず、行動にもつながりません。

■ “気まずさ”と“無関心”を生む職場会議の共通点
感情が置き去りの会議には、いくつかの典型的な兆候があります。
 1.発言が偏る(発言するのは上司だけ)
 2.意見が出ても、すぐに否定される空気がある
 3.「何のための会議か」が参加者に共有されていない
 4.会議中に感謝や承認の言葉がない
 5.決まったことが、実行されない
これらはすべて、「感情の循環」が起きていない証拠です。

とくに1と4は重要で、発言の偏り=心理的な壁、承認の欠如=関係性の冷却を意味します。
参加者にとって「安全」「意味がある」「役に立てる」感覚がなければ、やがてその場への“無関心”が広がっていきます。
そして会議の場は、「業務連絡と形式的合意を交わすだけの時間」へと変質していくのです。

■ 会議に“感情の流れ”をつくる3つのポイント
感情を置き去りにしない会議をつくるためには、構造ではなく「場づくりのあり方」から見直すことが重要です。

具体的には、以下の3つのポイントを意識するだけでも、空気は変わります。
1. 「前向きな感情」で始める
会議の冒頭に、ちょっとした「最近うれしかったこと」や「ありがとうを伝えたいこと」など、感情のポジティブなスイッチを入れるひと言を共有するだけで、その後の空気が柔らかくなります。
心理学的にも、人は感情的にポジティブな状態の方が創造的かつ協力的になります。
単なるアイスブレイクではなく、「関係性の温度上昇」が本質です。

2. 承認と共感を返す習慣をつくる
誰かの発言があったとき、「いいね、それ」や「なるほど、そういう見方もあるね」といった共感表現が返ってくる会議では、意見が出やすくなります。
ポイントは「内容の賛否」とは別に、“話してくれたこと”への承認を伝えること。
会議は発言者にとって常にリスクです。それを労う文化は、関係の質を高めます。

3. 決まったことに“感情の意味づけ”を加える
例えば、「この方針でいきます」という発表のあとに、「これによって誰が喜ぶのか」「どう役立つのか」という感情的メリットまで共有するだけで、行動の納得度は格段に上がります。
指示やタスクに「意味」が加わった瞬間、人のモチベーションは変わるのです。

■ 感情を扱える会議が、“人が辞めない職場”をつくる
離職率が高い職場には、「本音が言えない」「決まっても動かない」「会議が苦痛」という声がつきものです。
つまり、会議の空気は、そのまま職場の“人間関係の温度計”なのです。
感情が通い合う会議には、
 ✔ 意見の多様性がある
 ✔ 関係性に安心感がある
 ✔ 決まったことに納得がある
という三拍子が揃っています。

これは、まさに「人が辞めない職場の共通点」と重なります。
だからこそ、「会議の質を変える」ことは、「職場の未来を変える」ことと同義なのです。

■ 最後に
会議の空気は、意図しない限り変わりません。
資料を整え、議題を準備することも大切ですが、もっと大切なのは「参加者の感情に目を向ける」ことです。
“気まずさ”も“無関心”も、自然発生ではありません。
それを防ぐ第一歩は、「感情を置き去りにしない会議づくり」なのです。

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